私が川淵会長が辞任するべきと思う6つの理由(再)
”失敗の責任も反省もない川淵体制にこのまま日本のサッカーを任せることはできない”
セルジオ越後(サッカーダイジェスト8月22・29日合併号)
8/12に書いたエントリーを元に、川淵氏自らのジーコ批判や、山内編集長の退社などについて加筆した上で再掲させていただきます。
以下は、私の個人的な意見です。
なお、2ちゃんねるの「川淵更迭スレッド」でも同種の議論がされています。
- JFAがマスコミに対して報道規制を行っていること
- Jリーグの軽視と代表優先・興行優先の試合日程
- 権限の集中および協会内の粛清人事と側近政治
- 監督選考に関する結果責任と選定プロセスの反省の欠落
- オシム監督の就任騒動でサッカー界に与えた混乱の責任
- 公私混同の問題
川淵氏は協会内部に記者専用のラウンジを作り、いわゆる記者クラブ制を導入しました。これにより、許可を得た記者しかJFAの発表資料を得たり、取材することができなくなりました。日本代表関連のニュースは一般視聴者の関心が高く、横並びを重視するメディアにとって自社だけが情報を落とすことはできません。このため、主要メディアにはJFAにとって好ましくない報道を自主規制する傾向があり、公正な報道という点では完全さを期待できない面があります。また、川淵氏や協会に批判的な記者には取材パスが出なかったり、職場を辞めさせられるなどの直接的圧力があるとの証言も相当以前からあり、4年前の時点で「公の場では《川淵批判》が出来ない状況」だったとする報道関係者もいます。「オシムの言葉」の著者である木村元彦氏も、Jリーグクラブから取材拒否を受けるなど、川淵氏がらみで圧力を受けたことを証言しています。
JFAはこのような手法で協会や日本代表に対する批判を押さえこみ、W杯では日本の敗退が決まる日までマスコミに楽観的な大本営発表記事を書かせ続けたと思われます。(悲観的だと、視聴率や代表選手のCM価値にマイナスの影響があるためです。)またW杯敗退の後も、今にいたるまで我々が4大紙の紙面でJFAを批判するような記事を目にする機会はありません。
また、今週、自らの進退をかけてJFA批判を行ってきたサッカーダイジェスト編集長山内雄司氏ら複数の編集部員の方が退社・辞任しました。関係者の方の証言から、これが本人の希望による突然の辞任であることが判っています。どこからか圧力があったと断じることは非常に危険ですが、現状のJFA―メディア―広告主の間に無視できない利害関係があり、自主規制という名の報道統制が報道の現場でまかり通っていること、このような状況で公正で健全な報道を期すことがいかに難しいかということをこの件は示していると思います。
日本代表戦はJFAのドル箱であり、川淵氏は安定収入のために電通と組んで積極的に代表戦の商業化を進め、一部のスター選手に注目を集めることにより、大きな集客・広告塔効果を得るいわゆる「電通スターシステム」を完成させました。電通スターシステムの代表格としてはガンバ大阪の宮本選手、最近の例ではボクシングの亀田興毅選手などが挙げられます。
代表戦が注目されずに広告スポンサーがつかなかった時代に比べると、収入を安定増収させた功績は高い評価がされるべきですが、ショー化されたバレーボールのVリーグのその後の観客動員数の伸び悩みの例を見ても明らかな通り、過度な日本代表の偏重と興行優先は、「日本にサッカー文化を根付かせる」という川淵氏の理念とは乖離する恐れがあります。
近年、キリンカップ・チャレンジカップの試合数と協会のスポンサー収入は増加の一途をたどり、現在ではJリーグの全570試合で得られる協会の収入よりも、キリンカップ10試合で得られる協会の収入の方が上回っています。一方で、オシム監督も批判するように親善試合の過密日程は選手の負担増になっています。Jリーグクラブにとっても、代表戦は金銭的見返りが無いにも関わらず、主力選手が自クラブの試合に出場できない、過密日程で怪我をするなど負担の大きさが問題になっています。また、日本代表の広告代理店=電通、Jリーグ=博報堂であり、スポンサー企業群も重なっておらず、代表戦のしわ寄せがスポンサーの圧力無しに安易に各Jリーグクラブに転嫁される傾向があり、JFAのJリーグ軽視の基となっています。
なお、所属選手が代表に選出されてクラブの人気が出れば、興行や移籍金の面でクラブに利潤が期待できますが、そもそもクラブは代表にはない選手育成というコストの大きな役割を担っているので、この程度は当然の見返りの範囲といえます。
以上より、現状では代表チームとクラブの間の互恵関係のバランスが相当代表側に偏ってしまっていることが指摘できます。
川淵氏には外渉・人事権・スポークスマン・会長業務と、多くの権限が集中しています。川淵氏は協会内でライバルを押さえ、会長職の在任中に3人の副会長や次期Jリーグ会長など、要職を出身母体の 早稲田サッカー部OBで占めさせ、独裁政治・側近政治と揶揄される組織を作り上げました。週刊ポストの記事によると、最近では、ポスト川淵と目された野村副会長を理事に降格する大胆な報復人事も行ったとされます。
周囲の人間を無能視し「独裁と呼ばれても構わない」(週刊文春 2006年8月10日号) と発言する行為は、公益団体の組織の長としてはあるまじきことです。独裁ではなく、健全な合議制を確立し、協会の重要な方針の決定プロセスについては、ある程度公正化・透明化できるような組織改革をして欲しく思います。
なお、川淵氏はJリーグ創設の立役者であり日本サッカー界の最大の功労者だから、相当の権限があって当然では?という意見が根強く一部にありますが、これは不正確な事実に基づいた意見です。川淵氏は二宮清純氏や増島みどり氏などのごく親しいスポーツジャーナリストにJリーグ創設の全てが自分の功績であるかのような記事を書かせ、自らもそう吹聴しているのですが、広報業務に活躍した川淵氏に対して、サッカーファンからはJリーグの創設者として評価の高い木之元氏(現在病気療養中)のように、Jリーグの創設には裏方で労を尽くされた数多くの方の努力がありました。川淵氏以外の功労者に関してはプロジェクトⅩでも詳しくとりあげられています。
本来技術委員が選定して合議的に決定するはずの監督人事に関して、川淵氏は事実上の独断で監督実績がなかったジーコ氏を抜擢し、「ジーコを完全に信頼している」「私が全ての責任を取る」と公言したにも関わらず、 W杯の敗退前後から、「私の責任とはよりよい監督を探すこと」と発言して何の責任も反省もなく批判をかわそうとしています。それどころか、川淵氏自ら、「W杯前に解任しようと思った」「ジーコは能力不足だった」とジーコ監督の批判を公言し始めていて、このことを疑問視する声が高まっています。 現在に至るまで、JFAにおいて監督人事のプロセスに関しての分析や反省は行われていませんが、これは分析をすれば必ず川淵氏の責任問題を避けて通れなくなるためです。
ある組織が何か重要な方針を合議制で決定し、それが失敗した場合、責任は組織に帰します。この場合、決定プロセスにおいて何が失敗の原因だったかを分析して次につなげることになるでしょう。もし決定が個人の思いつきや独断で行われた場合、できることは、まずその個人の責任を求め、次になぜそのようなスタンドプレーが許されてしまったのか、組織の体質に問題はなかったのか、そこを見直すことになるでしょう。JFAは決定に携わった個人の責任を追求するでもなく、かといって組織としての決定プロセスを見直すでもなく、どちらの面においても必要な反省と分析を棚上げにしてしまっています。将来においてJFAと川淵氏が同種の過ちを繰り返す危険性の根を残してしまっています。
川淵氏はW杯敗退直後の記者会見で監督人事を漏らし、 自身は休暇をとってその後メディアの前から姿を消しました。これは一部のジャーナリストからW杯不振の責任追求をくらませるための、意図的なリークと非難されています。リークが意図的かどうかは置いておくとしても、機密の漏洩は組織の長としては許されるべきことではなく、ジェフ千葉を始めとしてJリーグを大きく混乱させた罪の責任は避けられないでしょう。
また、この問題で協会が千葉側に1億円の賠償金を払うことが決定しましたが、この原資には公金に近いお金であるアマチュア選手の選手登録費が含まれており、このことをとっても、通常の組織であれば減俸等なんらかの責任をとる必要があるのは明らかです。また川淵氏は、任期途中の監督の引き抜き防止規定(Jリーグ規約第118条)を作った張本人であり、結果的にJFAが率先してこの規約の理念を破るような人事を行ったというのは非常に遺憾なことです。たとえ明文化された禁止行為がJクラブ間の引き抜きのみであり、代表監督人事に関しては言及されていないとしても、道義的には明白なルール違反であり、協会によるJリーグ軽視の悪しき前例を作ってしまったことになります。
「雨の日に傘に入れてあげたら、傘をとられたようなもの。次の雨の時に、傘を貸してくださいというのが筋」
という淀川社長の言葉もありましたが、これらの混乱はオシム監督がジェフでの任期切れになる1月まで待つなりすれば避けられた筈で、保身のために就任時期を早めたと言われても弁解の余地はないでしょう。川淵氏はきちんとこのことの責任を取るべきです。
週刊ポストで、講演会の3000万円の謝礼の着服の問題や、秘書の個人業務の問題、 1500万円のハイヤーの私的利用の問題、ペーパーカンパニー・川渕企画の問題など、継続的に取り上げられているのでここでは書きませんが、私個人は、ドイツ大会のときに、川淵氏が滞在先で身内を協会の金で大々的に接待していたという報道に疑義を抱いています。
この報道以外にも、本来ならチーム合宿地のボンに滞在するべきところを、川淵氏がボンから1時間以上も離れたデュッセルドルフの高級五ツ星ホテルに滞在していたことには首をかしげざるを得ません。ボンにもプレスセンターがあるにも関わらず、デュッセルドルフのニッコーホテル(こちらも高級ホテルです)内に記者会見場を設置して会見を行うなど、明らかな協会予算の無駄遣いを行っています。(ボンにもヒルトンなど高級ホテルがありますから、ボンに適当なホテルがなかった訳ではありません。)
週刊ポストによれば、デュッセルドルフ滞在中の川淵氏の行動はI秘書一人しか知るものがおらず、どこで何をしていたか不明だそうです。また、ブラジル戦の前日には、日本人旅行者によって、デュッセルドルフの高級日本料理店で、大勢の有名人に囲まれて食事会をしているところを目撃されています。また、多数の身内や知人の渡航費・滞在費を全額もしくは部分的に協会の金で負担させたという話もあります。川淵氏は公益団体の財団法人の長ですから、不特定多数の利害関係者に対して責任があるわけで、このような、まるで中小企業のオーナー社長のような行動は適切でないと考えられます。
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