2006年9月 6日 (水)

川淵会長・ロイター通信のインタビュー第二弾全和訳(9月5日)

<川淵会長の発言の要約>

「中田はすでに、他の選手たちと満足にコミニュケーションをとることができなくなっていた」
「中田は、チームメイトを説得するためにとるべき正しい態度も方法も全く知らなかった。」
「物怖じ(ものおじ)しない性格の中田に対して、他の日本選手たちが大人しすぎたこと、自己主張もしなかったことがチームの崩壊と敗退の原因」

<インタビュー全文>

JFA会長「日本選手たちは中田を無視していた」
by Alastair Himmer (アラスター・ヒンメル記者)
http://sports.yahoo.com/sow/news?slug=reu-japan_interview&prov=reuters&type=lgns

(東京 9月5日 ロイター)
日本サッカー会長の川淵氏によると、日本の中心選手である中田英寿がW杯後に引退したのは、チームメイトとのコミニュケーションが破綻していたことが大きな原因だったという。W杯一次リーグ敗退後、中田はプロサッカーから劇的に引退をしたが、彼と他の選手との関係は以前からギクシャクしていた。

「中田はすでに、他の選手たちと満足にコミニュケーションをとることができなくなっていた」

と川淵三郎JFA会長は最近のロイターとのインタビューで述べた。

「中田はW杯で自らの持てるもの全てを捧げようとしていたが、チームメイトには幾分無視され気味だった。他の選手達にどうしたら意図を伝えられるのかわからないと自問自答していた。」

ドルトムントでブラジルに4-1で敗れ、アジア王者日本のW杯敗退が決まった後、中田は芝の上にくずれ落ち、こらえることができずに10分間もさめざめと涙を流した。中田は過去に先輩選手達とも衝突を起こしており、これは彼の無遠慮な性格にも問題があったと川淵は考えている。

「中田は、チームメイトを説得するためにとるべき正しい態度も方法も全く知らなかった。」
と川淵氏。
「そのせいでこんな風に全てが終わってしまったのは本当に情けないことだ。」

”内気な性格”

物怖じ(ものおじ)しない性格の中田に対して、他の日本選手たちが大人しすぎたのがチームの崩壊の原因だと川淵は他の選手の内気さを非難した。

「あの選手たちって何を考えているかよくわからないでしょ。」
と川淵氏。
「キャプテンの宮本すらあまり自分の考えを出さないしね。」
「彼らはチームに尽くしてたけれど、性格上、主張しないところがある。中田の実績も偉大すぎた。」

国際試合80試合の経験のある中田がたった29歳で引退してしまったことは、W杯後にジーコを引き継いだイビチャ・オシム代表監督にとっては打撃だ。しかしながら、二度アジア最優秀選手になった中田無しでオシムがチーム作りに成功するかどうかについては、川淵は達観しているようだ。

「それについては全く心配していませんよ」と川淵氏。
「オシムはチームを全く新しい方向に持っていくことを望んでるし、我々は彼が必要とするあらゆるサポートをするつもりです。」

しかしながら、すすり泣きとともに幕を閉じたW杯についての後悔と不満はまだしばらく後を引いている。

「中田が自分の考えを語る時、周囲によく波紋を起こした」と川淵氏。
「でもそれに対して他の選手たちは発言しなさすぎたね。こういうのが一番の問題だったんだよ。これが何もかもダメにしてしまった理由だ」


<このインタビューに関しての筆者の感想>

川淵氏は、今週発売の週刊サッカーマガジンでも、

「自由を与えたジーコのやり方は間違っていないと今も確信している」
「選手間に不和が起こったのが、最後の最後でいいところなく敗退した原因」

という旨の発言をしています。川淵氏の主張としては、「ジーコのやり方は失敗しておらず、日本人選手の内気な性格と中田がそりがあわなかったせいで不幸にもチーム状況が悪くなったから負けた」と、外部要因を理由にしたいようです。

しかしそうでしょうか。チーム内のこの問題について、ジーコはどのようにコミットしていたのか考えてみましょう。

セレソン経験者のジーコは、チームを大きな家族と考える傾向があったようです。マスコミの報道によると、ジーコは「ファミリー」内の不和や衝突を嫌ったといいます。選手間の序列を重視し、所属チームでベンチ入りしないことも多かった中田をチームの中核に据えました。また、同じく試合に出場していない柳沢(鹿島出身)を重用しましたが、これも大きな意味での家族意識(身内意識)に基づいた序列の現われともいえます。この、いわゆる「海外組」を優先する起用法は、メンバーを固定して連携を徹底するという点ではプラスの効果も期待されましたが、チーム内に「どうせ海外組が帰ってきたら俺達は出られない」と一部の国内組やサブ組を中心に白けたムードを産む原因になったとされています。
オーストラリア戦で坪井の足が痙攣して茂庭がスクランブル的に出場したときも、茂庭は場違いともいえるプレーを連発し、明らかに心理的な準備不足を露呈していました。一部の交代選手の間に、「自分も出てチームに貢献してやる」、「監督は出してくれるかもしれない」、という積極的な気持ちが殆どなかったであろうことを思わせる一幕でした。

こう考えると、「白けたムード」や「チーム内で孤立しがちな中田」、という構図を作った大きな原因は、他ならぬジーコのやり方だったと推測されます。

川淵氏がこのことには言及せず、敗因をただ中田とチームメイトの性格的要因に求めようとしているのは何故でしょう。そもそも何故この時期にこのような発言をするのでしょう。この理由は、おそらく、独断的にジーコ監督を選び、放任していた川淵氏自身に非難が起こるのを恐れるためではないでしょうか。
協会会長の仕事は代表の評論家ではありません。一国の協会会長がこのような時期に特定の選手に対してこのような批判的発言をするのには違和感を禁じ得ません。しかもそれが意識的にしろ無意識的にしろ保身を狙っての発言だとしたら問題です。敗退の理由を色々と挙げることによって、自分が負うべき責任を希薄化したいという思いも透けて見えます。

川淵会長、「オシムが必要なことは何でも与える」というのなら、殺人的な日程をやめて、日程の余裕を与えてあげてください。また、10月4日の代表戦もキリンとの契約で決まってるという理由で無理に試合をせず、トレーニングに充てる時間にしてください。

世代交代を怠ってきたジーコ時代のつけと、今年のみ1年早い2007年開催になったアジアカップのせいで、少ない時間で世代交代と戦術転換ということを同時にやろうとしている現代表には、時間が必要なことはサッカーを見てる人なら異論の無いところでしょう。

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2006年8月26日 (土)

私が川淵会長が辞任するべきと思う6つの理由(再)

”失敗の責任も反省もない川淵体制にこのまま日本のサッカーを任せることはできない”
セルジオ越後(サッカーダイジェスト8月22・29日合併号)

8/12に書いたエントリーを元に、川淵氏自らのジーコ批判や、山内編集長の退社などについて加筆した上で再掲させていただきます。

以下は、私の個人的な意見です。
なお、2ちゃんねるの「川淵更迭スレッド」でも同種の議論がされています。

  1. JFAがマスコミに対して報道規制を行っていること
  2. 川淵氏は協会内部に記者専用のラウンジを作り、いわゆる記者クラブ制を導入しました。これにより、許可を得た記者しかJFAの発表資料を得たり、取材することができなくなりました。日本代表関連のニュースは一般視聴者の関心が高く、横並びを重視するメディアにとって自社だけが情報を落とすことはできません。このため、主要メディアにはJFAにとって好ましくない報道を自主規制する傾向があり、公正な報道という点では完全さを期待できない面があります。また、川淵氏や協会に批判的な記者には取材パスが出なかったり、職場を辞めさせられるなどの直接的圧力があるとの証言も相当以前からあり、4年前の時点で「公の場では《川淵批判》が出来ない状況」だったとする報道関係者もいます。「オシムの言葉」の著者である木村元彦氏も、Jリーグクラブから取材拒否を受けるなど、川淵氏がらみで圧力を受けたことを証言しています。
    JFAはこのような手法で協会や日本代表に対する批判を押さえこみ、W杯では日本の敗退が決まる日までマスコミに楽観的な大本営発表記事を書かせ続けたと思われます。(悲観的だと、視聴率や代表選手のCM価値にマイナスの影響があるためです。)またW杯敗退の後も、今にいたるまで我々が4大紙の紙面でJFAを批判するような記事を目にする機会はありません。
    また、今週、自らの進退をかけてJFA批判を行ってきたサッカーダイジェスト編集長山内雄司氏ら複数の編集部員の方が退社・辞任しました。関係者の方の証言から、これが本人の希望による突然の辞任であることが判っています。どこからか圧力があったと断じることは非常に危険ですが、現状のJFA―メディア―広告主の間に無視できない利害関係があり、自主規制という名の報道統制が報道の現場でまかり通っていること、このような状況で公正で健全な報道を期すことがいかに難しいかということをこの件は示していると思います。

  3. Jリーグの軽視と代表優先・興行優先の試合日程
  4. 日本代表戦はJFAのドル箱であり、川淵氏は安定収入のために電通と組んで積極的に代表戦の商業化を進め、一部のスター選手に注目を集めることにより、大きな集客・広告塔効果を得るいわゆる「電通スターシステム」を完成させました。電通スターシステムの代表格としてはガンバ大阪の宮本選手、最近の例ではボクシングの亀田興毅選手などが挙げられます。
    代表戦が注目されずに広告スポンサーがつかなかった時代に比べると、収入を安定増収させた功績は高い評価がされるべきですが、ショー化されたバレーボールのVリーグのその後の観客動員数の伸び悩みの例を見ても明らかな通り、過度な日本代表の偏重と興行優先は、「日本にサッカー文化を根付かせる」という川淵氏の理念とは乖離する恐れがあります。
    近年、キリンカップ・チャレンジカップの試合数と協会のスポンサー収入は増加の一途をたどり、現在ではJリーグの全570試合で得られる協会の収入よりも、キリンカップ10試合で得られる協会の収入の方が上回っています。一方で、オシム監督も批判するように親善試合の過密日程は選手の負担増になっています。Jリーグクラブにとっても、代表戦は金銭的見返りが無いにも関わらず、主力選手が自クラブの試合に出場できない、過密日程で怪我をするなど負担の大きさが問題になっています。また、日本代表の広告代理店=電通、Jリーグ=博報堂であり、スポンサー企業群も重なっておらず、代表戦のしわ寄せがスポンサーの圧力無しに安易に各Jリーグクラブに転嫁される傾向があり、JFAのJリーグ軽視の基となっています。
    なお、所属選手が代表に選出されてクラブの人気が出れば、興行や移籍金の面でクラブに利潤が期待できますが、そもそもクラブは代表にはない選手育成というコストの大きな役割を担っているので、この程度は当然の見返りの範囲といえます。
    以上より、現状では代表チームとクラブの間の互恵関係のバランスが相当代表側に偏ってしまっていることが指摘できます。

  5. 権限の集中および協会内の粛清人事と側近政治
  6. 川淵氏には外渉・人事権・スポークスマン・会長業務と、多くの権限が集中しています。川淵氏は協会内でライバルを押さえ、会長職の在任中に3人の副会長や次期Jリーグ会長など、要職を出身母体の 早稲田サッカー部OBで占めさせ、独裁政治・側近政治と揶揄される組織を作り上げました。週刊ポストの記事によると、最近では、ポスト川淵と目された野村副会長を理事に降格する大胆な報復人事も行ったとされます。
    周囲の人間を無能視し「独裁と呼ばれても構わない」(週刊文春 2006年8月10日号) と発言する行為は、公益団体の組織の長としてはあるまじきことです。独裁ではなく、健全な合議制を確立し、協会の重要な方針の決定プロセスについては、ある程度公正化・透明化できるような組織改革をして欲しく思います。

    なお、川淵氏はJリーグ創設の立役者であり日本サッカー界の最大の功労者だから、相当の権限があって当然では?という意見が根強く一部にありますが、これは不正確な事実に基づいた意見です。川淵氏は二宮清純氏や増島みどり氏などのごく親しいスポーツジャーナリストにJリーグ創設の全てが自分の功績であるかのような記事を書かせ、自らもそう吹聴しているのですが、広報業務に活躍した川淵氏に対して、サッカーファンからはJリーグの創設者として評価の高い木之元氏(現在病気療養中)のように、Jリーグの創設には裏方で労を尽くされた数多くの方の努力がありました。川淵氏以外の功労者に関してはプロジェクトⅩでも詳しくとりあげられています。

  7. 監督選考に関する結果責任と選定プロセスの反省の欠落
  8. 本来技術委員が選定して合議的に決定するはずの監督人事に関して、川淵氏は事実上の独断で監督実績がなかったジーコ氏を抜擢し、「ジーコを完全に信頼している」「私が全ての責任を取る」と公言したにも関わらず、 W杯の敗退前後から、「私の責任とはよりよい監督を探すこと」と発言して何の責任も反省もなく批判をかわそうとしています。それどころか、川淵氏自ら、「W杯前に解任しようと思った」「ジーコは能力不足だった」とジーコ監督の批判を公言し始めていて、このことを疑問視する声が高まっています。 現在に至るまで、JFAにおいて監督人事のプロセスに関しての分析や反省は行われていませんが、これは分析をすれば必ず川淵氏の責任問題を避けて通れなくなるためです。
    ある組織が何か重要な方針を合議制で決定し、それが失敗した場合、責任は組織に帰します。この場合、決定プロセスにおいて何が失敗の原因だったかを分析して次につなげることになるでしょう。もし決定が個人の思いつきや独断で行われた場合、できることは、まずその個人の責任を求め、次になぜそのようなスタンドプレーが許されてしまったのか、組織の体質に問題はなかったのか、そこを見直すことになるでしょう。JFAは決定に携わった個人の責任を追求するでもなく、かといって組織としての決定プロセスを見直すでもなく、どちらの面においても必要な反省と分析を棚上げにしてしまっています。将来においてJFAと川淵氏が同種の過ちを繰り返す危険性の根を残してしまっています。

  9. オシム監督の就任騒動でサッカー界に与えた混乱の責任
  10. 川淵氏はW杯敗退直後の記者会見で監督人事を漏らし、 自身は休暇をとってその後メディアの前から姿を消しました。これは一部のジャーナリストからW杯不振の責任追求をくらませるための、意図的なリークと非難されています。リークが意図的かどうかは置いておくとしても、機密の漏洩は組織の長としては許されるべきことではなく、ジェフ千葉を始めとしてJリーグを大きく混乱させた罪の責任は避けられないでしょう
    また、この問題で協会が千葉側に1億円の賠償金を払うことが決定しましたが、この原資には公金に近いお金であるアマチュア選手の選手登録費が含まれており、このことをとっても、通常の組織であれば減俸等なんらかの責任をとる必要があるのは明らかです。また川淵氏は、任期途中の監督の引き抜き防止規定(Jリーグ規約第118条)を作った張本人であり、結果的にJFAが率先してこの規約の理念を破るような人事を行ったというのは非常に遺憾なことです。たとえ明文化された禁止行為がJクラブ間の引き抜きのみであり、代表監督人事に関しては言及されていないとしても、道義的には明白なルール違反であり、協会によるJリーグ軽視の悪しき前例を作ってしまったことになります。
    「雨の日に傘に入れてあげたら、傘をとられたようなもの。次の雨の時に、傘を貸してくださいというのが筋」
    という淀川社長の言葉もありましたが、これらの混乱はオシム監督がジェフでの任期切れになる1月まで待つなりすれば避けられた筈で、保身のために就任時期を早めたと言われても弁解の余地はないでしょう。川淵氏はきちんとこのことの責任を取るべきです。

  11. 公私混同の問題
  12. 週刊ポストで、講演会の3000万円の謝礼の着服の問題や、秘書の個人業務の問題、 1500万円のハイヤーの私的利用の問題、ペーパーカンパニー・川渕企画の問題など、継続的に取り上げられているのでここでは書きませんが、私個人は、ドイツ大会のときに、川淵氏が滞在先で身内を協会の金で大々的に接待していたという報道に疑義を抱いています。
    この報道以外にも、本来ならチーム合宿地のボンに滞在するべきところを、川淵氏がボンから1時間以上も離れたデュッセルドルフの高級五ツ星ホテルに滞在していたことには首をかしげざるを得ません。ボンにもプレスセンターがあるにも関わらず、デュッセルドルフのニッコーホテル(こちらも高級ホテルです)内に記者会見場を設置して会見を行うなど、明らかな協会予算の無駄遣いを行っています。(ボンにもヒルトンなど高級ホテルがありますから、ボンに適当なホテルがなかった訳ではありません。)
    週刊ポストによれば、デュッセルドルフ滞在中の川淵氏の行動はI秘書一人しか知るものがおらず、どこで何をしていたか不明だそうです。また、ブラジル戦の前日には、日本人旅行者によって、デュッセルドルフの高級日本料理店で、大勢の有名人に囲まれて食事会をしているところを目撃されています。また、多数の身内や知人の渡航費・滞在費を全額もしくは部分的に協会の金で負担させたという話もあります。川淵氏は公益団体の財団法人の長ですから、不特定多数の利害関係者に対して責任があるわけで、このような、まるで中小企業のオーナー社長のような行動は適切でないと考えられます。

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2006年8月22日 (火)

【速報】山内雄司サッカーダイジェスト編集長辞任.JFAの圧力か?

山内編集長自らの「メディアに課せられた責任として健全な批判を行いたい」「これは私の責任において、私の意見として言う」(vol.7号・7月15日) という決意表明から、この一ヶ月間、川淵・JFA体制の批判と分析を展開していたサッカーダイジェストでしたが、今日発売の同誌上で

山内編集長をはじめとして、複数の編集者の方が同誌を去ることが発表されています。

同誌を去る日野氏、山内編集長の二人の最後のコラムはそれぞれ協会批判のこととデモのことに触れ、デモを始終見届けたという山内編集長は「サッカーは誰のものでもなく、サッカーを愛する全ての人のもの」、「デモはサッカーを自分達の手に取り返すためのサポーターの行動の一つ」という評価を与えています。少し長いですが抜粋して引用させていただきます。全文はダイジェスト誌をご覧ください。

編集長・山内雄司の『蹴球7日』(抜粋)

”…いまやサッカーが大きな利益や利権を生み出すビッグビジネスであるのは紛れもない事実だけれど、それでもサッカーは誰のものでもない、それを愛するすべての人々のものだという、当たり前ながら失われがちなことを、青臭くても書き綴っていきたい。それが私のスタンスだった。
8月9日に行われた川淵会長の解任を求めるデモの始終を見届けた。その是非の議論もあるようだが、デモに参加したサポーターやファンの、サッカーは「誰か」のものではない、との意思表示に大きな意義を感じた。愛するサッカーと、サッカーのある生活を守ろうとする多くの人々の想いに対して、今後も報じる側としてほんのわずかでも響き合い、応えていけたらと思っている。
皆さんへ。今号をもって私はダイジェストを離れますが、サッカーライフは永遠に続きます。スタジアムで、街角で、サッカー談義に花を咲かせましょう。”

編集部持ち回り・日野淳太朗(抜粋)

「日本サッカーをもっと良くするためにメディアも健全な批判精神を養おう」
”…良いものは良い、悪いものは悪いということ。
そのための判断基準を提供するのがメディアの役割だし、特に専門誌にかかる期待は大きい。今まで以上にダイジェストの批判力が必要になると思う。私事を許してもらえれば、この号をもって編集部を離れる。だから、ダイジェストの一員として、変革の時に立ち会えないけれど、ダイジェストならきっと健全な批判精神をもって日本サッカーに新風を巻き起こしてくれると信じている。”

この時期の人事異動は出版会では通例なのかどうか判りませんが(出版会に詳しい方どうか教えてください)、もし普通の会社と同じとしたら秋の人事異動(10月)より早く、大量の人事異動は不自然です。大量の人員交代、また、同時に誌面でエディターを急募していることから、果たしてこの人事異動が予定通りの交代人事なのか疑問が残ります。

もし万が一、山内編集長と編集部員の方達の辞任がサッカー協会や広告代理店をはじめとする、なんらかの有形無形の圧力のために起こったのならば、それは絶対に許しがたいことです。

川淵会長更迭まとめサイトのFAQにもあるとおり、JFAの報道圧力に関しては、批判記事を出した記者の取材パスが降りない、上司の命令で配置転換された、などかねてから多くの実名・匿名の証言があります。有名な例では、「オシムの言葉」の著者の木村元彦さんが取材拒否を受けたことがあることを自身のブログ上で以下のように語っています。

木村元彦の「地球を一蹴」第29回(6/27)「川淵キャプテンに伺いたい」

”何の明確な理由説明も無いままにオシム監督インタビューを取材日前日になって、3度に渡ってキャンセルされたのだ。朝日新聞、角川書店、集英社の各担当編集者が、ごにょごにょとしか言わない広報担当から聞くところによると、それは、今春Number誌に掲載されたオシム記事がジーコ批判に当たるとして、「木村さんの取材はちょっと」ということになったそうである。
監督の言葉を詳細に採録したあの記事の一体どこが、ジーコ批判になるのか? 読解力の無さに呆れるが、例え批判であったとしても、それで取材を妨害するとは、これは度し難い間接的な協会の圧力である。「ほとぼりが冷めるまで」という訳の分からぬ理由で一ヶ月放っておかれた。”

今回の件は色々なところで波紋を呼ぶかもしれません。

追記(8/22 17:00)

サッカーダイジェスト編集部に電話でうかがったところ、電話に出られた男性の方から、「辞任は編集長本人の希望によるもので、山内編集長はW杯終了後から、辞めるという話をしていました。今回、サッカー協会に何か言われたとかそういうことはありません」とのお話を伺いました。それでも何か気持ちの晴れないのは私だけでしょうか。

追記(8/22 20:00)

Soccer Undergroundさんのブログで下記の投稿がありました

”サカダイ山内編集長クビの件、下記へ問い合わせ。
本日編集部休みとの事で詳細不明も、販売部の女性曰く「急な退職」だったらしい。
これが俺の邪推どおりなら正真正銘「言論統制」だよ!!!
株)日本スポーツ企画出版社 販売部
E-mail:mook@nsks.com / Tel:03-3815-3663

Posted by: 独裁川淵 at 2006年08月22日 18:35”

私が編集部(上は販売部なので部署が編集部とは異なります)に電話をかけたときには、なかなかでなかったので、編集部が休みというのは恐らく本当のことと思います。電話に出られた男性は残業等でたまたま編集部にいた方なのでしょう。
そして、誌面刷新のための退職なら数ヶ月前から引継ぎの準備等する筈で、送別会などもしているわけで、「急な退職」という表現にはならないはず。これが本当ならやはり圧力による急な人事異動だったのではないかという疑いが出てきます。

追記(8/23)

サッカーダイジェスト販売部に再び電話でうかがったところ、確かに山内編集長の辞任は「急な話だった」とのことを伺いました。辞任の理由は編集長ご自身のお考えなのでご存知ではないとのことでした。山内編集長に読者としていままでのことのお礼を伝えていただけますようお願いして電話を切りました。
サカダイ誌上でのエディターの募集は今号以前にはなかったので、これまでの話を総合すると、W杯後の誌面更新による予定された交代というよりも急に決まったと判断していいでしょう。

追記(8/26)

Soccer Underground blog にて、山内編集長が初めて協会に対して必要な批判を行っていくことを決意表明をした時のサッカーダイジェストvol.7(7月15日)の記事の画像がアップロードされていましたのでご紹介します。見逃した方はご覧ください。画像1画像2 

以下に抜粋します。

…だが、仮にも協会のトップである。自らが推薦したジーコ監督率いる日本代表の4年間の迷走、集大成であるワールドカップでの戦いぶりを間近に見ながら、「結果責任」とはどういうことなのであろう。ただジーコ監督を信じるだけで、こうした結果を招くことを少しも予想できなかったのであれば、それこそトップとしての資質に欠けていると言わざるを得ない。

…これは私の責任において、私の意見として言う。私は現体制にこのまま日本サッカーの舵取りを託すのは不安であり、恐れを抱いている。

…私なりに「日本サッカーのため」を考え、辞任、退陣を要求するようなネガティブキャンペーンを避けてきたが、「日本サッカーのため」を今一度突き詰めて、専門誌編集長として責務を果たしていきたい。それが私の立場での責任である。

「これは私の責任において、私の意見として言う」は山内編集長がこの決意に進退をかけていたこと、「それが私の立場での責任である」は、「私の責任とはよりよい監督を連れてくること」という川淵会長の言に呼応していたように思えます。

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2006年8月21日 (月)

「オシムの言葉」を読まずにオシム監督を語ってはいけない

オシム語録の真意

本書中にはこのようなやりとりがあります。オシム監督の真意が垣間見える箇所です。


─あなたは、ご自分が紡ぎ出す言葉が、語録と称されて注目を浴びていることをどうお考えになっているのか。
しばしの沈黙の後、彼は言った。
「私は別にテレビやファン向けに言葉を発しているわけではない。私から言葉が自然に出てくるだけだ。しかし、実は発言に気をつけていることがある。今の世の中、真実そのものを言うことは往々にして危険だ。サッカーも政治も日常生活も、世の真実には辛いことが多すぎる。だから真実に近いこと、大体真実であろうと思われることを言うようにしているのだ

─あの会見の言葉も?
じっとこちらを見つめて口を開いた。ミステリアスな監督が、ようやく漏らした本音だった。
「言葉は極めて重要だ。そして銃器のように危険でもある。私は記者を観察している。このメディアは正しい質問をしているのか。ジェフを応援しているのか。そうでないのか。新聞記者は戦争を始めることができる。意図を持てば世の中を危険な方向に導けるのだから。ユーゴの戦争だってそこから始まった部分がある」

オシム監督の数々の発言には常に洞察と真の意図が隠れている。これに比して「オシムから、会長は何を言ってもいいんだと言われた」と言って揚々としていた川淵会長が人間としていかに軽率で矮小に見えることか。


………………………………


「オシムの言葉」を恥ずかしながらつい最近読みました。近年出色の良書です。
ベストセラーは、アホの壁がどうとかダヴィンチの謎がどうとか、ある程度売れるためにはどうしても低質でないといけないと相場が決まっているようですが、この本は違いますのでベストセラーというだけで避けていた方もどうかご安心ください。なお、タイトルから「オシム語録集」だと勘違いされてる人もおられると思いますが、オシム監督の半生を扱ったドキュメンタリーです。(勿論「オシム語録」も多数収録しています)

映画のような半生

オシム監督のユーゴ代表監督としてのキャリアは祖国の崩壊に重なります。メディアが民族間の対立を煽り、代表監督が有象無象の圧力を受けた時代。内戦で家族と生き別れ、生き死にも不明。苦心して創り上げた代表チームは戦火の拡大とともに櫛の歯が抜けるように瓦解してゆく…オシム監督の半生を知ると、頭を思い切り殴られるような思いがします。こんな苛烈な状況におかれながら、それでも圧力に屈せず、自らの信念を曲げず、その公正な姿勢は今も民族と国家を超えた尊敬を受けている。正に事実は小説よりも奇なりの文言を思い起こさせるものです。襟を正して不要な情緒を抑えた著者の取材姿勢にも好感が持てます。

オシム監督が日本代表監督を引き受けた本当の理由

なぜ数多くあるオファーの中から、日本に来ることにしたのか? 著者の問いに、祖母井さん(ジェフ千葉GM)が毎日電話で誘ってくれたり、直接会いに来てオファーをしてくれたからとオシム監督は答えます。「優勝したいのならレアルマドリーのオファーを引き受けていた」という言葉もありますが、実際にオシム監督はレアルのオファーを蹴ったことがあります。
「自分はビッククラブ向きではない、そこではサッカーについて監督が正しいと思ったことを正しく実行できないからだ」
人生とサッカーを同一視する監督が何を大切にしているか判る言葉です。
その信条を知ると、今回の騒動のように、クラブと協会間の力関係を利用して任期途中でオシム監督を無理矢理就任させた川淵会長のやり方がいかに無礼で卑劣なことか思い至ります。このような商業主義的、権威主義的なやり方は最もオシム監督が忌み嫌うところでしょう。礼をつくして監督をジェフに迎えた祖母井氏の心中も察して余りあります。
また、現在一部筋から
「代表監督は契約があって初めて成り立つもの、オファーを断ることもできたのだから、受けたオシムは同罪だ」
とするオシム・川淵連帯責任論が盛んに喧伝されていますが、これがいかに的外れで愚かな論かは本書を読めば瞭然です。

オシム監督を「消費物」にしてはいけない

本書は、オシム監督が今どんなサッカーを目指しているのかを知るためにも、全ての日本のサッカーファンが読んで損のない本だと断言します。この名将が今、日本の代表監督をしてくれているということの僥倖。
オシム監督を絶対に商業主義の「消費物」にしてはいけないと思います。すでに各方面でその気配があります。協会の欠点を正し、サッカージャーナリズムを鍛えようと時に厳しい言葉を投げかける監督に対して、これから一層JFAや一部マスコミを中心とした強い反発も予想されます。
「私が日本を出た後ろで扉が閉じられないことを祈る」
と言うオシム監督。数年後にそうならないように、今、我々サポーターは真剣にオシム監督の言葉に耳を傾け、日本のサッカーシーンにおいて何が問題なのか、オシム監督が何を正そうとしていて、誰を鍛えようとしているのか理解し、どう行動することが我々にとって「コレクト」なことなのか、考えるべきと思います。我々サポーターが、某テレビ局に代表されるような安易なサッカージャーナリズムのデマゴーグによって目を曇らせることがないように祈ります。

なお、この記事は商業的な宣伝を目的とはしておりませんので本書に関してリンクやアフィリエイト等は控えます。書店等でお手にとりください


「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える 」
木村元彦 著・集英社インターナショナル


第1章 奇妙な挨拶
第2章 イタリアW杯での輝き
第3章 分断された祖国
第4章 サラエボ包囲戦
第5章 脱出、そして再会
第6章 イビツァを巡る旅
第7章 語録の助産夫
第8章 リスクを冒して攻める
第9章 「毎日、選手から学んでいる」 

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2006年8月19日 (土)

川淵会長の三枚舌、その他

この発言、時系列通りに並んでるのですが、文章だけ読むととてもそうは思えないです。
これ全部本当に本人が言ったことですよ。
川淵三郎語録もすごすぎて笑うしかなかったんですが、これもすごすぎます。

<ジーコ監督就任時>

  「ジーコ監督が失敗するわけがない」

<W杯前>

  「ジーコ監督はボクが選んだ。絶大な信頼を置いている。
   目標は2006年ドイツW杯でベスト16以上」

<W杯直前>

  「ジーコに栄誉職を用意しようかと思っている」

<クロアチアと引き分け後>

  「ジーコはよくやってくれた。日本が勝ち点1を取ったのは快挙ですよ」

<帰国会見時>

  「ジーコを僕が選んだと思ってる人がいるようだが、
  その認識は間違ってるのでまず正しておきたい」
  
<現在>

  「実はW杯の前に何度か解任しようと思ったことがあった」

  「正直、ジーコは能力不足だった」

  「W杯の失敗の問題が何だったのか見当もつかない」

  「後から結果だけ見て批判することは簡単だ」



川淵会長、失礼ながら最後のお言葉は、そっくりそのままご自身に当てはまってますよ…。

(8/21・追記)

Soccer Underground「先日のロイター川淵発言とちょっと前の川淵発言を比べてみた」
で上と同じような興味深い比較をされています。


ところで、これかなり面白いです。飲んでた水吹きそうになりました。

川淵顔を研究してみる(サッカー蟻地獄)(8/16)

あと、ゲンダイが川淵会長批判をしています。ゲンダイなので情報の信頼性は例によって微妙なんですが、それでも記事としては興味深いです。

川淵キャプテン 不機嫌の毎日
悩みの“3点セット”「オシム監督」「文部科学省」「過激サポーター」(8/12)

”キャプテンはこのところ“3つの煩わしいコト”で超不機嫌でしたからね」とベテラン記者がこう解説する。
「実は9日の試合後に川淵キャプテン解任要求デモが会場周辺であり、『平成の無責任男』『老害』といったプラカードを掲げて500人ほどが気勢を上げた。もちろんキャプテンもデモが行われることを承知しており、遭遇するのがイヤで逃げるように帰ったのです。試合前には、スタンドに『川淵ヤメロ』など横断幕を張られ、終始険しい表情でブ然としていた」
さらに「オシムが自分の言うことを聞かず、タテをついてくる。スポンサーに対して申し訳が立たない」とムシャクシャしているという。 ”

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2006年8月18日 (金)

【速報】新潟でも川淵ヤメロ横断幕登場

イエメン戦(新潟)でもスタジアムでサポーターによる抗議行動が行われていました。
「川淵ヤメロ」横断幕の動画
http://www.youtube.com/watch?v=Kq3un2hdwAI

行動された皆様お疲れさまでした。本当にありがとうございました。サポーターの声が川淵会長と世間に届くように、こういう運動を継続することが大事だと思いました。横断幕は安い布(生地屋で100円~200円程度)とスプレー塗料を買ってくればスタジアムで15分ほどで製作可能だそうです。自分も主張したいという方、次回はよろしくお願いします。川淵会長からは「デモや批判はどうぞご自由に」というありがたい言質も頂いておりますし…。

ところで、動画後半の強化プラン云々横断幕に関しては、川淵会長の責任を問うような内容ではなく、文面がソフトなことと、関係者がJFAと蜜月であることが広く知られている代表ウルトラの横断幕の真上に掲揚されていることから、こちらの方は代表ウルトラも一応やってますよ、というポーズなのかもしれません。官製ダンマクといったところでしょうか。本当のところどうなのかこの映像だけでは判断しかねますがちょっと微妙な気がします。

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川淵会長・ロイター通信のインタビューの感想

8/17に川淵氏が海外メディア・ロイターのインタビューを受けています。
全文和訳はこちら。


(後から振り返ると)ジーコには普通にあるべき指示や指導がなかった
ワールドカップで一体何が問題だったのか、見当もつかない
ジーコは監督としては少し能力に欠けていたかもしれない

などジーコを後出しで批判する発言の一方で、

後から批判するのはたやすいこと
W杯の敗退などを理由にデモなどをするのはファンが浅薄なせい

と、デモが後出しの批判であるという旨の非難を述べています。(ジーコの解任デモ等の動きはジーコの在任中から根強くあり、この点に限れば決して後だし批判というわけではないのですが)
これはよく考えるとおかしな話です。後出し的にジーコが能力不足だったと批判しているのは他ならぬ川淵氏であり、川淵氏が最早著しく論理性を欠いた、失敗の責任も分析もしようとしない(出来ない)組織の長であることが見えてきます。

サッカー専門紙・エルゴラッソのライターである武藤文雄氏が、自身のブログの中で

”ただ、やはり、悲しいのだ。結局、私は川淵氏の事が好きなのだ。尊敬もしているし、感謝もしているのだ。しかし、週刊文春や日本経済新聞でのインタビューを読み、「何が問題となっているのか」も「自分の論理に説得性があるのか」も、わからなくなってしまっている川淵氏を見るのが本当につらい。川淵氏の過去の実績を傷つけないためにも、すぐに辞めてほしいのだ。”

と語っておられるが、まさに「何が問題となっているのか」も「自分の論理に説得性があるのか」も、わからなくなってしまっている川淵氏が見えてくるインタビューです。

このロイターの記事について、ネットで、

”70も過ぎて、車も運転できなくなってるのに、「俺はまだ大丈夫だから運転させろ」ってゴネてるお爺ちゃんみたい”

と感想を述べていた人がいました。もはや、川淵会長にサッカー界の舵取りをさせることはできません。論理性も責任も自己分析能力もないトップに運転される組織ほど恐ろしいものはありません。川淵会長が今の地位にしがみつく限り、批判の声は止まりそうにありません。

それにしても、さすが日本の広告代理店とのしがらみのないことと、言動に論理性を求める海外メディアは、川淵氏の論理性の欠如や責任不在の後出しジャンケン姿勢に手加減が無いです。インタビュー全文を読むと暗にこの論理性の無さが浮き立つような内容になっています。朝日新聞の件といい、最近の川淵氏はメディアを利用しようとして逆に失敗している感が強いです。メディアプロモーションは、Jリーグ創成期に広報を担当してきた氏の自家薬籠中の物だった筈ですが、最早それすらうまくできなくなってきていることに、氏の能力の衰えを感じざるをえません。


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2006年8月17日 (木)

川淵会長・ロイター通信のインタビュー全和訳(8月17日)

川淵会長・ロイター通信のインタビュー第二弾全和訳(9月5日)はこちら

(ロイター,8/17,東京)

日本サッカー協会会長川渕三郎氏がロイター通信に語る

「ジーコは、ワールドカップ以前にクビになりそうになったことがあった」

ドイツW杯での失敗を受け、ジーコはかねての予定通りに代表監督を辞任したが、川淵氏はかつてW杯予選の段階でジーコを解任しようと考えたことがあったことを認めた。
「W杯予選中、彼を解任しようかと思ったことはあった」
「しかし予選を通過した後は、その理由もなくなったと感じた」

日本はワールドカップの本戦に何のインパクトを与えることもなく敗退したが、日本代表はジーコが普通に与えるべき指示や指導力を欠いて戦っていた、と川淵は振り返りながら認める。川淵氏によると、ジーコはJリーグクラブの鹿島アントラーズではテクニカルディレクターとしてその手腕を発揮していた。なので、何故代表チームであのような不干渉と放任の指導法を採用したのか、非常に当惑させられたということだった。

「ジーコは鹿島では、選手に全てを教えていた。それこそボールコントロールから食事にいたるまで全部だ。私は彼が同じことを代表チームでもやってくれるだろうと思っていた」と川淵氏。
「しかし、就任当初からジーコはそういう指導法は捨ててしまっていた。ちょっと驚いたね。私は彼が少なくとも選手にちょっとした助言は与えるだろうとは思っていたが、彼は結局それすらしなかった。どうしてかはわからない」

川淵氏は、イビチャ・オシム新監督は必ず新しい規律をチームに吹き込み、ジーコ監督の数年ですっかりチームにはびこってしまった弛緩した雰囲気を修復してくれるはずだと力強く語った。

「指導しない」指導法

「ジーコは選手達の能力を信じていたが、何人かは自分が何をすべきなのかがわからず、困惑の中に取り残されていた。」
「日本人選手はある程度の具体的な指示が必要であり、それこそオシムが現在行っているものだ」
「彼らは過去二年間に全くできていなかったことを、オシムの元で僅か3日でしてみせている」と川淵氏は語った。

日本はW杯初戦でオーストラリアに3-1で敗れ、クロアチアには無得点で引き分けを喫し、ブラジル相手に奇跡的な勝利が必要となったが、結局そんな奇跡を実現させることはできずに終わった。

「ジーコを批判したくはないが、しかし
ジーコは監督としては少し能力に欠けていた(naive)かもしれない

と川淵氏。
「もしくはひょっとしたら選手達がジーコの指導法についていけるだけのインテリジェンスを持ち合わせてなかったのかも」
「結果だけを見るなら、結局選手がついていけるかどうかが判らなかったジーコが間違っていたのかもしれない。私も、ジーコについてはもっと別のやり方があるんじゃないかと何度も思ったことはあった。」

川淵氏はまた、日本代表がオーストラリア戦の後半に無様(ぶざま)に崩れて、ジーコの評価を地に落としたあの一戦についても非難した。
「何が起こったのか神様のみぞ知るだ」川淵氏はため息をついた。
「最後の6分間には、全員スタミナを使い切ってしまっていた。彼らは走るのをやめていた。クロアチア戦でも彼らの足はとても重かったね」
「ブラジル戦では、2点目を取られたときにもう選手達は諦めたようだった。(結果は1-4の敗北)
ワールドカップで一体何が問題だったのか、見当もつかない(I have no idea what the problem was at the World Cup)」

一週間前に、ワールドカップの敗退に不満を持つサポーターによって川淵氏の辞任を要求するデモが行われたのだが、川淵氏は移り気な日本のサポーターの気質についても批判的である。

「後から批判するのは簡単だ」川淵氏は言った。
「もし、我々が愚かなミスをオーストラリア戦で犯してなかったら、事情は完全にひっくりかえっていたはずだ」
「その場合、人々はジーコは素晴らしい成功を収めた!と評価していた筈なんだ」

記事原文はこちら↓

http://au.sports.yahoo.com/060817/3/uhij.html

JFA boss says Zico came close to sack

TOKYO, Aug 17 (Reuters) - Former Japan coach Zico was close to being sacked before the World Cup, according to Japan Football Association (JFA) president Saburo Kawabuchi.

"I don't want to criticise Zico but perhaps he was a bit naive," said Kawabuchi. "Or perhaps the players didn't have the intelligence to put his methods into practice.

"Against Brazil we just seemed to give up after they scored their second goal (in a 4-1 win). I have no idea what the problem was at the World Cup."


このインタビューに関しての筆者の感想はこちら


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 [東京 17日 ロイター] 日本サッカー協会の川淵三郎会長が17日、ロイターとのインタビューに応じ、FIFAワールドカップ(W杯)ドイツ大会前にジーコ前監督を解任する考えがあったことを明らかにした。  日本は、W杯1次リーグF組で1分け2敗で敗退、ジーコ前監督は、契約満了となるW杯後に退任した。  川淵会長は、日本代表がアジア予選で苦戦する中、ジーコ前監督を交代させることを考えたが、W杯出場が決定したので解任する理由がなくなった、と話した。  また、ジーコ前監督が、鹿島アントラーズでテクニカル・ディレクターを務めていた際には細かい指導を行っていたが、日本代表の指導に関しては傍観的なアプローチをとり、チーム内には方向性が不明瞭になっていた選手もいたことを認めた。

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2006年8月15日 (火)

朝日新聞に川淵氏のインタビュー掲載(8月15日朝刊)

まず写真を見て、素直に、お年をとられたなという印象を受けました。もう今年で70歳のご高齢ですから年相応ともいえますが、それにしても、「オシムっていっちゃったね」失言の日から短期間でかなり老けこまれた気がします。
きっと年間予算177億円(平成15年度)の組織のトップともなると、色々我々サポーターには想像もつかないご苦労があるのでしょう。オシム監督も、事あるごとに小気味よくJFAの体質や問題点を批判されていて、JFAはそれにかなり振り回されている感がありますから、川淵氏としてもご苦労が絶えないのでしょう。

以下は記事の抜粋です。全文は朝日新聞をご覧ください:

-独裁者という批判があるが?
「独裁と言われてもやるべきことはやる。キッズプログラムなど私でしかできない事がまだ色々ある」「僕は人の意見は聞く。話し合いの場で意見を言わず、陰で悪口を言う人がいる」

-解任要求デモなど一部に批判がありますが?
「デモや批判はファンの行動として健全」「W杯で前回大会より成績が下回ったからといって辞める理由にはならない」

-オシム監督の名前を言ってしまったのは意図的という批判については?
「反町氏の名前がでてこなくて、オシムの名前がでてきて、間違えて言ってしまった」「表面上は平然としてたから意図的にリークしたって思う人もいるだろうけど、実際はパニックだった」

この記事を読んでの個人的感想ですが、まず、デモや川淵氏に向けられている批判を、W杯の成績不振が理由と結論づけられている点が短絡的ではないかというのが一つ。我々サッカーファンはW杯の結果にいたるまでのプロセスを大きな問題にしているわけで、ある程度以上の適切な指導力を備えた監督の元で、日本代表が実力を出し切って闘って敗れたならば0勝2敗1分でもファンは選手達の健闘を讃えるはずです。
実際のところどうだったかというと、川淵氏はご自分が独断で選んだジーコに全て任せっきりであり、川淵氏が選んだということでジーコの指導力不足の点(このことは川淵氏も認めている)はアンタッチャブルになってしまった。川淵氏はそこのところをお分かりでないか、もしくは判っていて意図的にミスリードしようとしているなというのが感想です。
もう一つの感想は、おそらく、ご本人は

「毅然と信念を通す、行動力ある男」

をアピールしたくて、今回の企画を朝日に持ちこんだ(※注)のではないかと思うのですが、正直、なんの事前知識も無いニュートラルな視点の人がこの記事を見たら、

「ややボケ始めた、周囲の話を聞かない頑固な老人」

というイメージを増すのではないか、という点が一つ。
ポピュリストの一般的な戦略として、自分がコントロールできるメディアに出演して、一般視聴者に顔を売るというのがありますが、今回のインタビューでは川淵氏は好印象を得るというよりもやや墓穴を掘ってしまった感があります。お盆で、川淵氏に批判的な各週刊誌やサッカーダイジェスト誌などが休刊している合間を狙って川淵氏なりにメディア対策で先手を打たれたのだと思うのですが、もうちょっと若い頃の写真を使うなど、イメージ戦略を練ったほうがよかったのではないでしょうか。

さて、これから川淵氏の迷走はどこまで続くのでしょうか。一サポーターとしては川淵氏の功績も評価しているだけに、晩節を汚さずに潔く後進に道を譲られてはどうか、と強く思う次第です。

(※注・文藝春秋と週刊文春の二つのインタビュー記事はJFA側の持込のタイアップ記事であることは木村元彦さんの証言で明らかになっています

(追記)

ちなみに、川淵氏がよくインタビューで決まって出される文言として、
「成績不振を理由に監督と同時に会長が責任をとって辞めたという例は世界にはない」
というのがありますが、これは全くの虚偽です。世界ではごく普通に行われていることで、2006W杯だけをとっても、W杯での成績不振を理由に、イランではダカン会長の解任、 ポーランドでも政府介入によるサッカー協会改革と、リストキエウィクツ会長更迭の動きがありました。わかってて言ってるのか、無知なのかは判りませんが(立場上、知らないとは思えないのでわかってて言ってるのでしょう)、この点だけをとっても「世界に例はない」などと言うのは、川淵氏が保身のためにどれだけ公衆の前で平気で嘘をおっしゃっているかが判る部分であり、とても組織の長として真摯な態度とは言えないのではないでしょうか。

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2006年8月14日 (月)

馳副大臣、川淵会長の件はその後いかがですか?

衆議院議員馳浩先生のブログに

衆議院議員 馳浩の赤じゅうたん雑記

7月25日付

”サッカー協会の川渕キャプテンにまつわる公私混同記事が週刊ポストをにぎわせているので、競技スポーツ課の担当者に「事実関係の確認」を指示する。
スケート協会不祥事のときもそうだったが、こういう記事は早めにしっかりと事実確認をしておくに限る。
針小棒大の記事もあれば、事実をしっかりと直視した記事もある。
監督官庁としては、常にアンテナを光らせて事実を把握しておくべきだろう。”

とのエントリーあり。馳議員はプロレスラー出身の議員で現在文科相副大臣を務める人。川淵会長の盟友である森元首相とも密接である。この件が今後どういう風に進展するのか大いに期待するとともに、この件がうやむやで終わらないかどうかにも注目していきたいです。馳先生、期待しています。頑張ってください。

ところで、おそらく出所は週刊誌だと思うのだけれど、噂では、川淵会長10月解任説というものがあるらしいです。JFAの税法上の問題点をついて監督官庁の指導で川淵氏に責任を取らせて辞めさせるとかなんとか。本当なんでしょうか。

(追記・8/23)

馳副大臣のブログ(8月18日付)にその後以下の記載

”サッカー協会については、川渕会長の公私混同問題と人事問題とは分けて事情聴取した結果の報告をいただく。 その内容は文書として残しておき、今後国会などにおいて質問があったときなどに答弁できるようにしておく。文部科学省として法人の人事などの内容に踏み込んで指導できるものではないが、公益法人としての経理の取り扱いなどについては今後とも適切に処理していただくことを指導する。”

…だそうですが、今後国会等で答弁の内容が公開されることはあるのでしょうか。気になります。

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